シネマ雑感:「鑑定士と顔のない依頼人」

この映画の監督は「ニューシネマパラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレです。多分ですが、私のような標準的シネマファンにとっては、「ニューシネマパラダイス」は今まで見た映画の中で一番良かったですと簡単に言ってしまう映画なのかもしれません。
実際には、一番とか、二番とかはあまり関係ないのですが、「ニューシネマパラダイス」と映画が語り継がれることは間違いないと思われます。
多分、一番好きな外国の歌手はと聞かれたら、我々世代が「「ビートルズ」と答えてしまうのと似ています。
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さて、よく「上質のミステリー」という言葉がありますが、私自身あまりミステリー映画に足を運ぶことはないのですが映画監督がジュゼッペ・トルナトーレということで楽しみにしていました。
ブログ用に自分なりのコメントをまとめてはいたのですが、何と私の尊敬すべき沢木耕太郎(氏)がこの映画にコメントを残しているのを見つけました。
このコメントを要約して掲載します。
(かなり長かったので半分以下に要約しましたが伝わるか心配です)
「美術品の著名な鑑定士でありながら、オークションでハンマーをふるうオークショニアでもあるという初老の男に若い女性から電話がかかってくる。 しかし、その若い女性の依頼人が鑑定士に会おうとしないのは、屋敷に作り付けられた隠し部屋で暮らしているからだということがわかってくる。彼女には、広い場所に出ていかれなくなってしまった心的障害があるらしいのだ。生涯独身を続けてきた年老いた鑑定士と、狭い部屋から出ていかれなくなってしまった若い女性。だが、それにしては、どこかに不穏な気配が漂っている 鑑定士は、自宅に秘密の部屋を持っている。そこには、犯罪すれすれの方法で手に入れた古今の名画が四方の壁に飾られている。しかも、それは、すべて女性の肖像画である。彼の至福の時とは、その部屋の中央に座り、彼女たちに囲まれていると感じる瞬間なのだ。彼は、これまで、生身の女性を必要としてこなかった。だが、隠し部屋から一歩出てきた依頼人の姿を見ることに成功する。 物に淫し、人と交わらず、レストランで食事するときも手袋を取ろうとしない。その異様な人物を、ジェフリー・ラッシュはワンシーンずつ確実に造形していく。彼が演じるのは、孤独であるだけでなく、狷介であり、横柄であり、悪辣でもあるという老人だ。絶望的な最後であるはずのものが、ひょっとしたらある種のハッピーエンドなのかもしれないと思わされるほど印象が変わっていた。それもまた、私がこの作品に心を奪われたもうひとつの理由であったろう」
以上がはしょって、はしょっての文章です。
物の見方はいろいろあるでしょうが、あれは年齢関係なく男であれば仕方ないわな?というのが私の意見でしょうか。
今回、沢木耕太郎の映画評論を見つけただけでも大収穫でした。

院長ブログ 2013.12.22
読書週間:「命の入り口心の出口」

最近、「食育」を知るようになり、今までの仕事に見直しが必要と感じるようになりました。
特に。西日本新聞社の「命の入り口心の出口」は、歯科関連の書籍の中では一番のインパクトだったように思えます。
(というか、この手の本は歯科の専門書はなくて当然かと思います)
いろいろ紹介したいエピソードはあるのですが、それは他の機会にします。
食べることでしか、「命」を育めない。
話し伝えることでしか、「心」は通い合わない。
生命も活動も、「口」が関与する。
それなのに、疎かになっていないだろうかという話です。
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特に「噛む」という大事な行為が軽く扱われているように思えます。
食事における「噛む回数」が減少しているということはご存知でしょうか?
子どもが喜ぶ軟らかくて多国籍型の「カタカナ食」。
パンは平均10回。
まだ噛み切れていないうちに牛乳で流し込む子が目立つ。
スパゲティはもっと早い。
数回噛んだら、すぐ次のスパゲティを口の中に放り込む。
おいしいお食事を美味しそうに食べる芸能人の定番のコメントが「やわらかい」である。
「やわらかくて美味しい」、間違っても「固くて美味しい」とはなりません。
困るのは「やわらかい」=「美味しい」と繋げることによって同意語になってしまいそうな言葉です。
「コリコリして美味しい」はわかるのですが。「固くて美味しい」はあまり聞きません。
噛むことがどれだけ素晴らしいことかが、いろんなエピソードとともに感じ取れます。
「100年続ける一日30回」というコラムを紹介します。
福岡市の知的障害児通園施設「しいのみ学園」園長、昇地三郎さんは2005年から、4年連続で世界一周講演旅行を行い、学園の朝礼でも訓示をかかさない現役の教育者です。生後半年で食中毒にかかり、虚弱体質になった。物心ついたころ母親に言われた言葉は「一日30回噛みなさい」。
以来100年間、母の教えを忠実に守り続けている。(103歳:現在は亡くなられています)
「噛む」という行為を一番軽く扱っているのは歯科医師かもしれません・・。

院長ブログ 2013.12.07