「ぐうたら人間学」

近所の「ブックオフ」で何か面白い本はないかとウロウロ物色していると、懐かしいものを見つけました。
この本は遠藤周作の「ぐうたら人間学」という本で、私が高校一年の時に友人から借りて読んだことがあります。
借りた友人(その友人とは37年間一度も会ってません)を覚えているため、今から37年前に読んだ本です。(初版は1976年とありますから、間違いありません)
当時、高校生だった私は「エッセイ」という本があること。そして、こういう本でもお金を払って買うということにも驚きました。

この頃だったかは忘れましたが、遠藤周作というとそれこそなかなかの有名人で、テレビでコーヒーだったかクリープだったかのコマーシャルに出演していました。いかにも小説家らしく、そしていかにも避暑地という別荘でコーヒーを飲んでいるシーンだったと記憶しています。
さて、本の後ろにある解説を読むと、遠藤周作氏の人柄を知ることができます。
「私は3年に一度くらいの割合で堅苦しい小説を書くので、それが発表されたあと、読者から私が、人生に悩みぬいたようなイメージを抱かれるのではないかと思うと、たまらなく嫌である。だからそのあと色々な形で自分が軽薄な人間であるということを自分の読者に知らせようとするのです」と書かれています。
「海と毒薬」「沈黙」「さらば、夏の光よ」「白い人」などの後に、「ユーモア小説集」「ぐうたらシリーズ」を順次、出版していくのが遠藤周作氏の方針のようです。
結局、何が言いたいのかというと「エッセイ」という本を初めて知ることができたのは遠藤周作のお陰ということです。
日常的などうでもいい話を、作者独特のほんわかした言い回しで書かれているのが「エッセイ」と理解しています。
さて、本を読み返すと驚いたことに、全ての話を一切憶えていません(笑)
その中で、あえて面白かった「当たった20年前の予言」という話を紹介します。
昔「コックリさん」(このフレーズだけで十分懐かしい)という占いが異常なくらいに流行ったことがあるのですが、狐に憑かれて(ホンマかいな?)倒れてしまう子供たちが続出し社会問題となり新聞紙上を賑わせていました。その「コックリさん」で遠藤周作氏の将来の仕事はという質問に対して、コックリさんは「小説家」と答えたそうです。この遠藤周作氏はこういう類の占いは一切信用しないそうですが、20年が経過して当たったことになります。
話ではこの後、霊媒師の話題に入っていくのですが、その家では机がガタガタ鳴り、人形が部屋を飛び回るシーンに遭遇したそうです。ここで本人はその人形の上を手でさぐってみるのですが何もなかったということで、要はつるされていないこのトリックが未だに解せないというのです。
 実は状況は違いますが、同じような経験(私の場合はマジックショー)があり、人形の上を手でさぐり、未だにあのトリックが不思議だと思い続けています。光栄にも遠藤周作という著名人と人形の上を手でさぐるという同じ行為をして、なおかつ同じ疑問を持ち続けていることに、大いに共感を得た次第です。

院長ブログ 2012.07.30
シネマ雑感:「ソウル・サーファー」

私は、毎朝、マイカーで30分ほどかけて自宅から通勤しています。
運転中は、ABCラジオの「道上洋三のおはようパーソナリティー」というラジオ番組を聴いています(というか、スイッチが入ったままというか・・)
たいがい私の通勤している時間帯といえばスポーツニュースが多く、阪神タイガースネタばかりなのですが、その日は珍しく道上さんが観に行った映画の話でした。
そこで紹介されていた映画が「ソウル・サーファー」でした。

ただ、歯科医院近くの街中に入るとラジオに雑音が入ってしまいよく聞き取れなくなるのですが、道上さんが「泣けたわぁ!」と話していたのが聞こえた程度でした。
「サメに片腕を奪われたサーファー」の話と聴き正直それほど興味もなかったのですが、時間が空いたのでフラッと一人で観に行きました。
フラッという表現しかできないくらいで、何でこの映画を選んだのか自分でも思い出せないのですが、あの道上洋三さんが観て面白かったというのが多分記憶にあったのかもしれません。
この映画ですが、これがまったくの予想を裏切り、スクリーンに釘付けとなりました。
べサミー・ハミルトンという主人公の凄すぎる生き方に驚き、そしてもうひとつこれは実話であると聞いてダブルの驚きでした。
また、この映画に出演している脇役の凄さにも感心させられました。父親役のデニス・クエイドは「オールド・ルーキー」(史上最年長のルーキー誕生の話でこれも実話)の主役で、母親役は「恋愛小説家」でアカデミー賞主演女優賞のヘレン・ハント、そして友人役には何とビックリのあの超名(迷)優[日本では竹中直人のような俳優]ジャック・ニコルソンの実娘が出演しています。この映画、決してお金をかけているとは思えない映画ではありますが、各役者ともオファーを受けてすぐオーケーを出したとのことで、つまりアメリカではこの話は有名なのだと思われます。
パンフレットによると、主人公のべサミー・ハミルトンの話はアメリカでは高校の教科書にも載っているそうです。
確かに、この話なら載るはなぁと思いつつも、それでもやはり映画というものは多少脚色して作るものだという先入観を、見事に裏切ってくれるエンドロールに繋がることになります。
先日のあるアンケートでは、映画のエンドロール(作り方にもよりますが・・)を最後まで見るかというものでは、かなりの人(その番組では半数ほど)が見ずに帰ってしまうとのことでした。
当院のスタッフも書いていましたが、この映画はエンドロールに全ての意味があるような気がします。今回に関しては、見なかった人は絶対に大損してると思います。
パンフレットのイントロダクションでは、映画「ソウル・サーファー」は躍動感あふれる爽快なサーフムービーであると表現されていましたが、ラストのエンドロールを見た感情は爽快感なのだと後で気づくことになります。
私はその爽快なエンドロールが見たくて、二回この映画を観ました。
本当は、二回目は満員で入館できず、映画館に足を向けたのは実際には三回でした(笑)

院長ブログ 2012.07.14