歯科の往診は難しいことが多い?
2008年10月26日
先日、一緒に仕事をしていたことのある歯科衛生士I(旧名)さんからメールをもらいました。
子育てがほんの少し一段落したので合間を見つけて訪問の仕事をしているとのことです。
家事との両立はたいへんだと思いますが頑張ってください。
往診をするようになってかれこれ14年がたちます。
今までは試行錯誤の連続でした。
正直、初めの頃の患者さんへは満足な治療とはほど遠いものだったと反省しております。
ある患者さんの話です。
一人暮らしの女性の方から往診の依頼がありました。
診療の終わった夜に患者宅に行くと、月曜日の定番「水戸黄門」が放送されていました。
どうしても気になるらしく顔は私の方を向いているのですが、目はテレビを向いていました。
「このテレビは最後がエエねん!」と丁寧に説明してくれます。
(それぐらいはこんな私でも知っています。)
しかし、治療を始めるも心ここにあらずの状態です。
「これ終わってからやろか」の私の一言に大喜びです。
二人でテレビを見ることになりました。
「私はここに何しにきたのだろう?」と思う反面、私も画面に釘付けに!
「最後がエエんよ!」
(それぐらいこんな私でもわかってます。)
何年か後にアパートの前の駐車場スペースで歩行の訓練をされているのを見かけたのが最後でした。
その後このアパートの前を車で通ったときにはもう取り壊されていました。
あの患者さんは今頃どうされているのかとふと思います。

写真は近くの特別養護老人ホームの職員のN君です。
患者さんを車で搬送してくれています。
(たいへん感謝しています)
本当なら施設に出向き治療をすればいいのでしょうが、いい結果が出ないのが現状です。
これからの高齢社会、往診はどうしても必要です。
でも、私の診療方針として往診の安売りはするつもりはありません。
いろいろ理由はありますができるだけ来院してもらってどうしても来ることができなくなったら、初めて往診を治療の選択肢に入れるつもりです。
このスタイルはこれからも守っていくつもりです。
一緒に「水戸黄門」を楽しく拝見させてもらった患者さんにも、決して満足のいく魔法の入れ歯は作れませんでした。
「思いっきり期待されてしまったのですが・・・」
患者さんの入れ歯への大きな期待と、術者側の小さな往診技術のギャップをどうのように埋めればいいのかが問題です。
やっぱり、往診は難しいとつくづく思います。





